歯がそろっていれば、ちゃんと噛めている?―「食べる」を支えるお口の働き―
こんにちは、かえでファミリー歯科です。
「自分の歯が残っているから、まだまだ大丈夫」
「特に痛いところもないし、ちゃんと食べられている」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、歯をできるだけ多く残すことはとても大切です。
しかし、歯があることと、お口全体がしっかり働いていることは、まったく同じではありません。
私たちが毎日何気なく行っている「食べる」という動作には、歯だけでなく、舌・くちびる・頬・唾液、そして飲み込む力など、さまざまなお口の機能が関わっています。
今回は、「噛む」「食べる」を支えているお口の働きについて、少し詳しくご紹介します。
「食べる」は歯だけではできません
食事をするとき、まず食べ物を口の中へ取り込みます。
そして歯で細かく噛みながら、食べ物を飲み込みやすい状態にまとめ、最後にのどへ送り込みます。
この一連の動きでは、口唇・舌・頬が協調して働いています。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、食べ物や飲み物は口唇・舌・頬の協調した動きによって口に入り、細かくされ、飲み込まれると説明されています。
つまり、
「歯がある=しっかり食べられる」
とは限らないのです。
歯の状態だけでなく、食べ物を動かす、まとめる、飲み込むといった機能がスムーズに連携していることが大切です。
舌は「味を感じる」だけではありません
舌というと、「味を感じる場所」というイメージが強いかもしれません。
しかし、食事中の舌はとても忙しく働いています。
食べ物を受け取り、左右に動かしながら奥歯の噛みやすい位置へ運びます。噛んだ食べ物を再び歯の上へ移動させたり、唾液と混ぜたりしながら、最終的には飲み込みやすいひとかたまりにして、のどの方向へ送り込みます。
そのため、舌の動きや力が低下すると、
「以前より食べるのに時間がかかる」
「口の中に食べ物が残りやすい」
「飲み込みにくい」
といった変化につながることがあります。
歯が十分残っていても、舌が食べ物を適切な場所へ運べなければ、歯の力を十分に生かすことができません。
くちびると頬にも大切な役割があります
くちびるや頬も、「食べる」ために欠かせない存在です。
くちびるは食べ物を口の中へ取り込み、食事中に食べ物や飲み物が口からこぼれないようにする役割があります。
頬は、噛んでいる食べ物が歯列の外側へ逃げすぎないように支えています。
そして舌が内側から、頬が外側から食べ物をコントロールすることで、食べ物を噛みやすい位置へ運びます。
このように、歯・舌・くちびる・頬は、それぞれ別々に働いているのではなく、一つのチームのように連携しています。
唾液も「食べる」を助けています
唾液というと、「口の中を潤すもの」という印象があるかもしれません。
しかし、唾液にも食事を支える重要な役割があります。
噛んで細かくなった食べ物に唾液が混ざることで、食べ物はまとまりやすくなり、飲み込みやすくなります。
反対に、お口が乾燥していると、
・食べ物が口の中でまとまりにくい
・パンやクッキーなどが食べにくい
・飲み込みにくい
・口の中に食べ物が残りやすい
と感じることがあります。
そのため、「最近口が乾きやすい」という変化も、お口の機能を見るうえで大切なサインの一つです。
厚生労働省でも、口腔機能には咀嚼や嚥下だけでなく、唾液分泌など複数の働きが関係しているとされています。
「噛めているつもり」になっていることも
お口の機能の変化は、ある日突然わかるものばかりではありません。
少しずつ変化していくため、自分では気づかないうちに、食べ方が変わっていることがあります。
たとえば、
・硬いものを避けるようになった
・以前より食事に時間がかかる
・食べこぼしが増えた
・食事中にむせることがある
・飲み込みにくいと感じる
・口が乾きやすくなった
・滑舌が気になるようになった
といった変化です。
「年齢のせいかな」
「まだ食べられているから大丈夫」
と思っていても、知らないうちに食べやすいものを選んだり、ゆっくり食べたりすることで、お口の変化を補っていることもあります。
お口の働きは、歯科医院でチェックできます
では、自分のお口がしっかり働いているかどうかは、どうすればわかるのでしょうか。
歯科医院では、歯や歯ぐきの状態だけでなく、
・噛む力
・食べ物を噛み砕く力
・舌の力
・舌やくちびるの動き
・飲み込む機能
・お口の乾燥状態
など、お口のさまざまな働きを確認することができます。
「なんとなく食べにくくなった」という感覚だけではわかりにくい変化も、検査することで、お口の働きをより具体的に確認できます。
こうしたお口の働きを調べる検査を「口腔機能低下症の検査」といいます。
口腔機能低下症の検査では、口腔乾燥、咬合力、舌の力、舌やくちびるの動き、咀嚼、嚥下など、複数の項目を確認します。
一つの症状だけを見るのではなく、お口全体がどのように働いているかを確認できることが大切なポイントです。
大切なのは「何本あるか」+「どう働いているか」
自分の歯をできるだけ多く残すことは、一生自分のお口で食べるための大切な土台です。
でも、大切なのは歯の本数だけではありません。
その歯を使ってしっかり噛めているか。
舌やくちびる、頬がうまく動いているか。
食べ物をまとめ、飲み込むことができているか。
こうした「お口の働き」も一緒に見ていくことが大切です。
最近、
「硬いものをあまり食べなくなった」
「食事に時間がかかるようになった」
「口が乾きやすくなった」
など、以前と少し違うと感じることがあれば、お口からの小さなサインかもしれません。
いつまでも、自分のお口でおいしく食べるために。
むし歯や歯周病だけでなく、気になる「お口の働き」についても、歯科医院でチェックしてみませんか?

