「噛む力」を育てる食育メモ
毎日のごはんでできる、お口の成長サポート
「うちの子、あまり噛まずに飲み込んでいる気がする」
「やわらかい物ばかり好んで食べる」
「食事中の姿勢が気になる」
このようなお悩みはありませんか?
実は「噛む力」は、食べ物を細かくするためだけのものではありません。
お子さんのあごの発達、歯並び、飲み込み、姿勢、集中して食べる力にも関係しています。
噛む力は、特別なトレーニングだけで育てるものではなく、毎日の食事の中で少しずつ育てていくことができます。今回は、おうちで今日から取り入れやすい食育のポイントをご紹介します。
なぜ「噛む力」が大切なの?
よく噛むことには、いくつかの大切な役割があります。
1. あごの発達を助ける
食べ物をしっかり噛むことで、お口まわりの筋肉やあごを使う機会が増えます。
あごの成長は、歯が並ぶスペースにも関係します。
もちろん、歯並びは遺伝や癖、呼吸、舌の使い方などさまざまな要因が関わりますが、毎日の食事で「噛む経験」を積むことは、お口の成長を支える大切な習慣のひとつです。
2. 消化を助ける
よく噛むと唾液が出やすくなります。
唾液には、食べ物を飲み込みやすくしたり、消化を助けたりする働きがあります。
あまり噛まずに丸のみしてしまうと、胃腸に負担がかかりやすくなることもあります。
「よく噛んで味わう」ことは、お口だけでなく体全体にとっても大切です。
3. 脳への刺激になる
噛む動きは、脳への刺激にもつながります。
食事中にしっかり噛んで味わうことは、食べることへの集中にも関係します。
「早く食べなさい」と急がせるよりも、まずは落ち着いて食べられる環境を整えることが大切です。
今日からできる3つの習慣
習慣1:食材の切り方を工夫する
噛む力を育てたい時に、まず意識したいのが食材の大きさや形です。
小さく刻みすぎると、ひと口でポイッと口に入ってしまい、あまり噛まずに飲み込みやすくなります。
もちろん年齢や発達に合わせた大きさは大切ですが、食べられる範囲で少し大きめにしてみると、「かじる」「噛む」経験につながります。
たとえば、スティック状の野菜や果物は、前歯でかじり取る練習になります。
前歯でかじり取り、奥歯へ運んでもぐもぐ噛む。この流れが、噛む力を育てるうえで大切です。
また、乱切りなど少し厚みのある形にすると、自然と噛む回数が増えやすくなります。
薄くペラペラに切ったものよりも、厚みのある食材の方が「噛む必要」が出てきます。
おすすめの工夫は、以下のようなものです。
・ひと口で入るサイズより少し大きめにする
・スティック状にして前歯でかじる経験を増やす
・乱切りなど厚みのある形にする
・年齢や発達に合わせて無理なく調整する
かじる練習には、おにぎり、りんご、きゅうりなど。
もぐもぐ練習には、さつまいも、れんこん、きのこなどもおすすめです。
ただし、硬すぎるものを無理に食べさせる必要はありません。
お子さんの年齢や食べる力に合わせて、無理なく取り入れていきましょう。
習慣2:飲み物で流し込まない
食事中、口の中に食べ物があるうちに飲み物で流し込む習慣があると、噛む回数が少なくなりやすいです。
飲み物で流し込むと、食べ物を細かく噛んだり、唾液と混ぜたりする前に飲み込めてしまいます。
その結果、「丸のみ」や「よく噛まない食べ方」につながることがあります。
食事中の飲み物が悪いというわけではありません。
大切なのは、口の中の食べ物をしっかり噛んで、飲み込んでから飲むことです。
おうちでできる工夫としては、
・飲み物をすぐ手に取れる位置に置かない
・「ごっくんしてから飲もうね」と声をかける
・口の中に食べ物がある時は、まずもぐもぐを促す
・スープや汁物は、食材がぱさつく時のサポートとして使う
このように、飲み物に頼りすぎず、自分の唾液で飲み込む練習をしていくことが大切です。
特にぱさつきやすい食材は、完全に避けるのではなく、スープや汁物と組み合わせると食べやすくなります。
「飲み物で流し込む」のではなく、「噛んで、唾液と混ぜて、飲み込む」流れを少しずつ育てていきましょう。
習慣3:足裏を床につけて食べる
意外と見落としやすいのが、食事中の姿勢です。
足がぶらぶらした状態では、体が安定しにくくなります。
体が安定しないと、噛む時にしっかり力を入れにくくなることがあります。
しっかり噛むためには、お口だけでなく体の土台も大切です。
足裏が床や踏み台についていると、体が安定し、背筋も伸びやすくなります。姿勢が整うことで、奥歯で噛みしめる動きもしやすくなります。
チェックしたいポイントは、
・足の裏が床や踏み台についている
・椅子が高すぎない
・机と椅子の高さが合っている
・背中が丸まりすぎていない
椅子が高くて足が届かない場合は、踏み台を置いて調整してみましょう。
「足をつけるだけ?」と思うかもしれませんが、食べる姿勢を整えることは、噛む力を育てる土台になります。
食べる流れを育てよう
噛む力を育てるには、単に「硬いものを食べる」だけではありません。
大切なのは、
かじる → もぐもぐ → ごっくん
この流れを育てることです。
まず前歯でかじり取り、奥歯でもぐもぐ噛んで、唾液と混ぜてから飲み込む。
この一連の流れが自然にできるようになると、食べ方も安定しやすくなります。
お子さんによっては、ひと口量が多すぎて口の中にため込んでしまったり、飲み物で流し込みやすかったり、片側ばかりで噛むこともあります。
そのような時は、食材の形や量、姿勢、食事のペースを少し見直してみましょう。
おうちで気をつけたいこと
噛む練習は大切ですが、無理に硬いものを食べさせる必要はありません。
硬すぎる食材は、お子さんにとって負担になることもあります。
また、ひと口量が多すぎると、丸のみや口の中にため込む原因になることがあります。
「たくさん食べてほしい」と思うと、つい大きなひと口になりがちですが、最初は少なめの量から始めると安心です。
食事時間に余裕がないと、急いで食べたり、飲み物で流し込んだりしやすくなります。
忙しい日もあると思いますが、できる範囲で「ゆっくりもぐもぐできる時間」を作ってみましょう。
大切なのは、完璧を目指すことではなく、無理なく少しずつ続けることです。
こんな時は相談を
次のような様子が続く場合は、食べ方やお口の機能を確認してみることもおすすめです。
・やわらかい物ばかり選ぶ
・飲み物で流し込みやすい
・口の中にため込みやすい
・片側ばかりで噛んでいる
・むせやすい
・食べこぼしが多い
・食事に時間がかかりすぎる、または早すぎる
気になる食べ方には、お口の筋肉や舌の動き、姿勢、呼吸などが関係していることもあります。
「そのうち治るかな」と様子を見てよい場合もありますが、気になる状態が続く時は、早めにご相談ください。
毎日のごはんが練習になる
噛む力は、特別なトレーニングだけでなく、毎日の食事の中でも育てられます。
できることを少しずつ。
家族で楽しく食べることが一番。
完璧より、続けやすさ。
今日のごはんから、まずはひとつだけ意識してみてください。
お子さんの成長を、お口の健康から一緒にサポートしていきましょう。







