「砂糖を控えたいから、ゼロカロリー飲料に変えています」
ご家庭でも、こうした工夫は増えています。

実際、代替甘味料(非糖類甘味料:NSS)は、砂糖摂取量を減らす“手段”にはなります。
一方で、臨床の現場では次のようなお悩みも少なくありません。

  • 甘い飲み物がやめられない

  • 甘いものを欲しくなる感覚が続く

  • 「ゼロだから大丈夫」で頻度が増える

今回は、代替甘味料を“善悪”で決めるのではなく、家族で続けやすい落としどころを整理します。

代替甘味料とは

本記事で扱う「代替甘味料」は、主に 非糖類甘味料(NSS: non-sugar sweeteners) を指します。
例:スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムK、ステビア など。

※キシリトール等の**糖アルコール(ポリオール)**は甘味料として広く使われますが、WHOのNSS分類とは別枠で整理されることがあります。

代替甘味料にしても「甘いものから抜けにくい」理由

“甘さの刺激”は残る

砂糖を代替甘味料に置き換えると、カロリーは減っても「甘い味の刺激」は残ります。

つまり、
「砂糖を減らす」ことと、「甘さに慣れる(甘味への習慣を弱める)」ことは別です。

そのためゼロカロリーにしても、
「甘い飲み物が欲しい」という習慣自体は続きやすい、という見方があります。

研究ではどう見られているか(食欲・脳の反応)

ヒトを対象に、非糖類甘味料飲料(例:スクラロース)と砂糖入り飲料を比較し、空腹感や脳(食欲調整に関わる領域)の反応が異なったという報告があります(ランダム化クロスオーバー試験など)。

ただし、ここで大切なのは
「全員に悪い」と断定できる段階ではないことです。

一方で、少なくとも
“甘い味は入ってくるが、砂糖由来の代謝シグナルは来ない”という状況が、食欲や満足感に影響し得る――という方向性は議論されています。

自律神経への影響は?

結論から言うと、
「影響ゼロ」とは言い切れないが、一定の結論として断定もしにくい(研究はまだ不十分)
が現状として妥当です。

  • 心拍・血圧・HRVなど、自律神経関連指標をみた研究はある

  • ただし、対象(年齢・性別)、甘味料の種類、用量、比較条件で結果が割れやすい

  • 短期(単回摂取)研究が多く、長期的な意味づけは難しい

そのため臨床的には、
「代替甘味料は自律神経に悪い/悪くない」と結論を急ぐより、
“甘い飲み物を常飲する習慣”自体を見直す方が、家族へのアドバイスとして実用性が高いと考えます。

WHO(2023)の考え方:押さえておきたいポイント

WHOは2023年のガイドラインで、
非糖類甘味料を体重管理や生活習慣病予防の手段として習慣的に使うことを推奨しない(条件付き推奨)
という立場を示しています。

理由としては、

  • 長期的な体脂肪減少の利益がはっきりしない

  • 長期使用で望ましくない関連(2型糖尿病、心血管疾患など)が示唆される
    などが挙げられています。

※これは「毒性評価(安全性上限)」をそのまま更新する話とは別、という点も重要です。

子どものいる家庭での落としどころ(実践)

代替甘味料を「絶対ダメ」とするより、使い方を整えるほうが続きます。

① まずは飲み物から整える(最優先)

  • お茶

  • 無糖飲料

ここが最も効果的です。
砂糖入りでもゼロ系でも、“甘い飲み物が毎日になる”状態を減らすことがポイントです。

② お菓子は「量」より「回数」

歯科の立場からも、だらだら摂取より
回数とタイミングを整える方が影響が大きいことが多いです。

③ 代替甘味料は“補助輪”として使う

いきなりゼロが難しい場合は
砂糖入り → ゼロ系 → 無糖
と段階的に下げるのは現実的です。

子どもへの考え方

英国SACNは、幼い子どもについて
砂糖またはNSSで甘味づけされた飲み物を避ける
食べ物も無糖を基本に、という提案をしています。
(子どもは“味覚を学ぶ時期”であり、習慣化の影響が大きいため)

歯科医院として伝えたいこと

代替甘味料の話は「虫歯になりにくいか」に意識が向きがちですが、実際はそれだけでなく、

  • 甘い飲み物の習慣

  • 間食の頻度

  • 寝る前の飲食

  • 口呼吸・生活リズム(全身状態)

まで含めて見た方がうまくいくケースが多いです。

“何で甘くするか”より先に、
“甘いものを口にする回数とタイミング”を整える。

これが、家族で続けやすい基本です。

まとめ

  • 代替甘味料は、砂糖を減らす助けにはなる

  • ただし、甘い刺激が続くと習慣は切れにくいことがある

  • 「糖依存」と言い切るより、“甘さへの慣れ・習慣化”として考えると実践的

  • 自律神経への影響は研究がまだ不十分で、結果は一貫しない

  • 家族の目標は「砂糖→代替甘味料」で終わらず、甘さそのものを下げること

 

[参考文献]

1) WHO. Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline (2023)
https://www.who.int/publications/i/item/9789240073616

2) WHO(ニュースリリース)WHO advises not to use non-sugar sweeteners for weight control… (2023-05-15)
https://www.who.int/news/item/15-05-2023-who-advises-not-to-use-non-sugar-sweeteners-for-weight-control-in-newly-released-guideline

3) SACN(英国)Position statement on non-sugar sweeteners(PDF)
https://assets.publishing.service.gov.uk/media/67ea97b3ea9f8afd8105627d/sacn-position-statement-on-non-sugar-sweeteners.pdf

4) Chakravartti SP, et al. Acute sucralose vs sucrose effects on hypothalamic blood flow & hunger (Randomized crossover trial) (PubMed)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40140714/

かえでファミリー歯科