子どもは遊んでいる時や走っている時、転んで顔をぶつけてしまうことがあります。

「前歯から血が出ている」
「歯が少し欠けた」
「歯がグラグラしている」
「歯が抜けてしまった!」

そんな時、突然のことで慌ててしまうのは当然です。

歯の外傷は、見た目だけではダメージの程度がわからないこともあります。また、ぶつけた直後には問題がなさそうでも、時間が経ってから歯の色が変わったり、痛みや腫れが出たりすることがあります。

今回は、子どもが前歯をぶつけた時に知っておきたい応急処置と、歯科を受診するポイントについてお話しします。

まずは「歯」よりも全身の状態を確認

顔や口を強くぶつけた時は、歯を見る前にまずお子さんの全身の様子を確認しましょう。

特に、

・意識がいつもと違う
・強い頭痛がある
・吐き気や嘔吐がある
・めまいがある
・ぐったりしている

といった症状がある場合は、頭部を傷めている可能性があります。

このような場合には、歯科治療よりも頭部の診察を優先する必要があります。日本歯科医師会も、頭痛・めまい・吐き気・嘔吐などがある場合には、まず頭部の精密検査を受けるよう案内しています。

口の中から血が出ていたら

転倒して口元をぶつけると、唇や歯ぐきから出血することがあります。

まずは口の中を確認し、清潔なガーゼなどで出血している部分をそっと押さえて止血します。

この時、傷口を強くこすったり、何度も触ったりする必要はありません。

また、出血が少ない場合でも、

「歯がグラグラしていないか」
「歯の位置がずれていないか」
「いつもより歯が奥に入っていないか」

なども確認してみましょう。

歯ぐきから出血している場合には、歯の位置が変わっていることもあるため、早めの歯科受診がすすめられます。

歯が欠けてしまったら

前歯をぶつけると、歯の一部分が欠けることがあります。

欠けた歯のかけらを見つけた場合は、捨てずに歯科医院へ持ってきてください。

欠け方や状態によっては、歯のかけらを利用して修復できることもあります。

また、

「少し欠けただけだから」
「本人が痛がっていないから」

とそのままにせず、一度確認することが大切です。

表面だけが欠けている場合もあれば、歯の内部までダメージが及んでいる場合もあります。

歯がグラグラする・位置が変わった場合

ぶつけた後、

・歯が揺れている
・斜めになっている
・前後にずれている
・歯が歯ぐきの中に入り込んだように見える

といった変化がみられることがあります。

こうした状態を「歯の脱臼」といい、歯を支えている周囲の組織が傷ついている可能性があります。

日本小児歯科学会も、乳歯がぐらついたり位置が変わった場合には、状態に応じて位置を戻したり固定したりする処置が必要になることがあるとしています。

自分で歯を押して元の位置へ戻そうとしたり、何度もグラグラさせたりせず、早めに歯科を受診してください。

「ほんの少し動くだけ」に見えても、確認しておくことをおすすめします。

永久歯が完全に抜けてしまったら

歯の外傷の中でも特に時間が重要なのが、永久歯が根っこごと完全に抜けてしまった場合です。

抜けた永久歯は、歯の根の周りにある「歯根膜」という組織をできるだけ傷めず、乾燥させないことが重要です。

国際外傷歯学会(IADT)のガイドラインでも、抜けた永久歯では迅速な対応が予後に大きく関係し、口の外で乾燥している時間をできるだけ短くすることが重要とされています。

抜けた永久歯を見つけたら

① 根っこを触らない

歯を拾う時は、根っこの部分ではなく、普段口の中で見えている**白い歯の部分(歯冠)**を持ちます。

② 乾燥させない

ティッシュやハンカチに包んで持ってくると、歯根膜が乾燥してしまいます。

③ 歯の保存液や牛乳に入れる

すぐに歯科医院へ向かう場合でも、歯を乾燥させないことが重要です。

専用の歯の保存液があれば保存液へ。ない場合には、牛乳が身近な保存方法のひとつです。IADTでも、牛乳は抜けた永久歯の保存媒体として挙げられています。

④ できるだけ早く歯科医院へ

抜けた永久歯では、時間が非常に重要です。

「あとで受診しよう」とせず、できるだけ早く歯科医院へ連絡してください。

「永久歯」と「乳歯」では対応が違います

ここは特に大切なポイントです。

抜けた乳歯は、自分で元の位置へ戻さないでください。

乳歯のすぐ下では、これから生えてくる永久歯が育っています。

乳歯の外傷は、その後の永久歯の位置や歯の形成に影響する場合があるため、抜けた乳歯を無理に戻すのではなく、歯科で状態を確認します。

日本小児歯科学会でも、乳歯の外傷によって後から生えてくる永久歯に影響が出る場合があるため、永久歯が生える時期まで定期的に確認することを勧めています。

乳歯と永久歯では外傷時の対応が異なることも、ぜひ覚えておいてください。

ぶつけた直後に問題がなくても油断しないで

歯の外傷で注意したいのは、症状が後から現れることがあるという点です。

ぶつけた直後には、

「歯も動いていない」
「痛がっていない」
「見た目もいつもと変わらない」

ように見えることがあります。

ところが数日〜時間が経過してから、

・歯の色が変わってくる
・噛むと痛い
・何もしなくても痛む
・歯ぐきが腫れる
・歯ぐきにできものができる
・歯がグラグラしてくる

などの変化が現れることがあります。

特に歯の色が黒っぽく変化した場合には、歯の神経にダメージが起きている可能性があります。日本小児歯科学会でも、外傷後に歯の色が黒くなってきた場合は、かかりつけ歯科医などを受診するよう案内しています。

「大丈夫そう」でも一度確認を

子どもの歯の外傷は、外から見ただけではわからないことがあります。

歯そのものだけではなく、

・歯の根
・歯を支えている骨
・歯ぐき
・歯の神経

などに影響していることもあります。

必要に応じてレントゲンなどで確認し、その後の経過をみていくことも大切です。

特に乳歯では、今ある乳歯だけではなく、その下で育っている永久歯への影響も考えて経過をみていきます。

まとめ|前歯をぶつけた時に覚えておきたいこと

子どもが前歯をぶつけた時は、まず慌てずにお子さんの状態を確認しましょう。

・頭痛や嘔吐などがあれば、頭部の診察を優先
・出血していたら清潔なガーゼでそっと押さえる
・欠けた歯のかけらは捨てずに持参する
・グラグラした歯を自分で動かさない
・抜けた永久歯は根を触らず、乾燥させない
・抜けた乳歯は自分で元に戻さない
・見た目に問題がなくても、その後の変化を確認する

歯のケガは突然起こります。

だからこそ、「もしもの時にはこうする」と知っておくだけでも、いざという時の対応が変わります。

「ぶつけたけれど大丈夫かな?」という時も、自己判断だけで終わらせず、まずは歯科医院へご相談ください。

お子さんの歯だけでなく、これから生えてくる永久歯も含めて確認していきましょう。

かえでファミリー歯科では、お子さんから大人の方まで、お口の健康を通してご家族のお口をサポートしています。

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